なんだか、子供の長期休暇に入ると一度はやっていると思うのだが、朝の車での送迎のことでオットといさかう。
やはり送って欲しい気持ちが強いオット・・それもとにかく自分にとって都合が良く、行きたい時に即!みたいな感じの彼の要求に対して、私はなるべく出かけたくないし、駅まで10分かからぬこの辺で、車で奥さんに送ってもらっている男性を他に見ないこともあるし、オットの運動面のこともあるし、子等の面倒やら、洗濯物を干したり、朝食の後片付けをしたりという仕事のことも、何より自分もたとえ少しのことでもあっても外に出る以上、最低限の身なりを整え、きちんと薄くでもメイクをしたいという気持ちもあって、送るの送らないのでもめ、結果的には車で送ってもありがとうも言ってもらえず膨れっ面に無言で行かれるという経験をさせられる。
これも基本は自分が悪い、相手がどうこうと批判するより、そういう性質、性分でもう変わりようがなく、こちらが変化を望んでも無駄なのだということをまず反省しなくてはならない。それを踏まえた上で私がきちんと綺麗に断るか、受け入れるなら合わせるかの二者択一しかなかったものを、中途半端に容認したりしなかったりする部分のミックス具合が事態をこじらせ、悪くしたのだと思う。
オットももう52歳である。更年期の心理とも無縁ではなく、仕事の忙しさも相まって精神的なバランスがいつも必ずとれているとは言い難い部分もあるのだろう。
なのにこんなにがっかりするのは、私がまだ期待し、求めすぎているからなんだなあと、帰宅してもすぐ2階のリビングに上がって寛ぐ気持ちになれなかった。
しかも結局オットは忘れ物をして、タクシーをとばして家に戻ってきて、さらに怒ってでかけて行ったので、もうなんだか気分はめちゃくちゃである。
最初から8時15分に家を出るというのでいいのなら車で行ってもいいよと言ったのにな・・・なのになぜ、7時55分に出るのでないのという騒ぎになったのかそもそもわからず。
そんなことを悶々と思いながら洗濯物を干し、やりかけていた掃除を終えて家の中がすっきりしても、気持ちはちっともすっきりしなくて弱り果ててしまった。
子供がいなくてよかった。娘も息子も見送ったので、両親の険悪な雰囲気に眉を曇らせつつも彼らは彼らで出かけた先で楽しく気分を転換することだろう。
オットもそうだ。仕事にいけばそのことですぐ頭がいっぱいになり、多くの人と触れ合うことで気持ちは必ずリフレッシュもされる。
対して私は、望んで家に引きこもっているので、こういう時も一人で回復するよう努めるしかない。
そしてそれは本来、私の大変得意なことのはずなのだ。
とはいえ、案外心の傷が深くて、いつものようにすぐ何かに取り組み楽しむということができそうな気にならなかった。
だけど自分で自分を諦めないというのは私の人生信条の一つである。清濁併せ呑むというのも私が常日頃思い、心がけていることの一つだ。いいことばかりの人生ではない、時には苦くも酸っぱくもある、非常に不味くて濁った部分を味わうこともあるだろう、それでもそれらも含めて一つの味わい、人生なんだと私自身が思っている。今朝のこんな出来事だってその一つだ。
だから今、私は嫌な気持ちに負けてしまったり、絶望にだけ浸って自分を哀れんでばかりでいてはいけないと思った。その中で何か、私が神に与えられた幸福なものが一つはあるはずだもんねと思いながら、目を閉じ、ふっと思い浮かぶものを待った。
そして浮かんだ。
お人形に触ろう。
引っ越してきて2年、人形置き場を暫定したまま、きちんと保管も整理もできていないという後ろめたさが日増しに強くなっていたのだ。
日差しが大敵なのはもちろんなので、それは防いでいるものの、日差しの次に大敵な埃から十分人形たちを守れていない。
私の非常に大切なもののはずなのに、私は一体何をしているのだろう、してきたのだろう。
怖くて途中で見られなくさえなっていたその場所に私はゆっくり向き合った。
埃。
ごめんなさい!
座り込んで私は一つ一つを、かつて本当に愛し、馴染み、大切に思ってきたその存在たちに語りながら、掃除機とミニほうきと叩きとワイパーシート、ティッシュなどで清めていく。
弱く吸い込む設定にした掃除機で埃をとり、羽の細かい叩きで拭い、ワイパーシートでさらに拭く。
ワイパーのシートはすごい。くすんだ汚れの元になっている細かな埃をお人形の肌はもちろん髪や服からも見事に吸い取って、艶やかにさえする。小さなブラシで髪も整え、一体一体を考えて並べなおして。
気がつくと朝食も食べていなかった。昼食も食べていなかった。
ぶっ通しで4時間動いて、働くほどに私の心は軽く、楽しく、幸せにすらなっていった。
可愛い子がいて、たくさんいて、私はとてもありがたい、幸せだと心から思った。
先日、久しぶりに買ったリカちゃんのドレスセット、あのアリス服が似合うリカを探そう、
そして着せ替えて写真を撮って、ページを作って、部屋に飾って楽しもうかと思いながら、
特にリカちゃんたちを注意深く見た。
リカに限らず、夏らしい風情の子が幾体もあって、ああ、今、この子を飾って楽しみたいなと強く思い、この夏休みはきっとそうしようと目標を定める。
それにしても、下の写真の右側のリカは日焼け肌で栗色のウェーブの髪、来ている衣装も青いギンガムチェックのサマードレスに幅広の帽子ととても可愛い。
白肌のリカと比べるとこんな感じ。
どちらもそれぞれ魅力的。
たくさんのお人形の中でもリカちゃんが占めている部分は多い。
そしてその中でも案外私のお気に入りの子は、
お人形教室出身の子がほとんどであることに気づく。
いや甲乙はつけがたいのだけれど、
お人形教室という1500円から2500円の手頃なお値段の中で、
満を持して発表されたような
パッケージングからして豪華だったリカちゃんたちと比べても、
私の中では遜色がない。
が、この日焼け肌の子は人形教室出身でさえないと思う。
確か・・・お手頃なセット野中の一つで
いかなる冠も付いていなかった子だ。
私自身、HPにアップもしていない。
ドレスセットは、別に買ったものだ。
アリス服が似合いそうな子がいそうで、
いないという半端な気分になるのも楽しい。
でもまあ、この子かな?
この子もあり?と、いろいろ悩むのがいいのだ。
こんな感じで並べている今。
棚にお金はかけません。
この後、コットンレースのカーテンをつくり
サテンのリボンで天井から吊るして完璧に埃をシャット。
風水的に、お人形の頭数だけ運を取られるという話があるそうでだったらうちは人形がなかったらどれだけ運がよかったの?という話だけれど、まあそういう話も聞きつつ、埃除けにはやはり、常時見えている状態にするより、囲ってあげるほうがお人形と人間とお互いのためという気がする。
こんな感じの棚がもうひとつあって、そちらも仕上げている途中で息子が帰ってきた。
6時間、お人形と向き合い続けていたのだ。
でも懸案だった人形棚をカーテンで加工ということができてとても満足。
お人形たちも居心地良さそう。
長いこと、ずっと人形たちには待っていてもらったけれど、今後はまた一緒に過ごせる時間を増やせるんじゃないかなと思て、その見通しが今の私を楽しくさせ、帰宅した家族に優しい気持ちで向き合わせてくれた。
「朝、俺、とっても困ったんだよ!」
と、まだ責任が私のほうにありそうな口ぶりのオットにさえも。