「がんばりましょう」
息子の給与振り込み用に新しく口座を開いたらこんな可愛い子を頂いた。
ラッピングに印刷されてると思ったのだけれど、ちゃんと本体に染色されてました。
可愛い〜ん。
こんなことでご機嫌になれる自分の単純さが好き。
作詞家の小倉めぐみさんという方が亡くなられたと朝のニュースで知り、
私はよく知らないけれど、きっととても惜しまれるべき方、
だから忙しない一日のニュースのトップでお知らせされるんだろうな、と認識した。
それで後でネットで詳細を読んだら、
私も何曲となく知っている素敵な歌詞を作られた方だった。
記憶というのは不思議だ。
ふとした香もそうだけれど、音とも濃厚に結びついている。
ほんの1フレーズだけだとしても、
よみがえってくる記憶とそれにまつわる想いというのはひどく鮮明であったりして
時に胸を苦しくさせるほどだ。
私の場合、smapの「がんばりましょう」には
がんばった記憶と間一髪な感覚、そして愛しさと嬉しさ、という
はじけるような思い出がこもっている。
元々いい曲、いい歌詞だなあと思っていた。
明るくはつらつとした言葉の並びの中に、リアルな日常がちりばめられ、
あ〜、わかるぅ、という気持ちになって、くすっと笑ってしまう。
当時のSMAPというグループの若々しさが素敵だね、
歌と雰囲気がすごく合ってる!と思う気持ちも相まって、
かっこ悪い朝でもくじけずがんばりましょう、という言葉には、
今でも力をもらえる気がする。
曲が流れるらしい。
それはどの曲かわからない、という話で盛り上がったのは、
今からなんともう四半世紀近く前の初夏のころだ。
私は初めての妊娠出産が、逆子で全前置胎盤という非常に困難な状態になり、
絶対安静、早期帝王切開予定という措置で突如産科に入院したのだ。
そこは6人部屋で、他の問題ない普通入院の妊婦さんたちと違い、
逆子や早期胎盤剥離、妊娠中毒症などなどのトラブルを抱えた妊婦たちが集まり、
固められたお部屋だった。
誰もが分け合っての帝王切開確定組で、それぞれが時期を見て、
おなかを切って出します、という待機中。
私は結局2か月くらい入院し、
従ってかなりの仲間と一緒に苦楽を共にすることになった。
恐ろしいまでの病院内情報通になり、様々な人間ドラマを観たけれど、
そんな中での「上がり」はもちろん「無事出産」であり、
その日を夢見て頑張りながらの共同生活だった。
そんな中で、先に無事に子を産み、元気に戻ってくる方はあこがれの存在である。
といっても皆、帝王切開の術後の痛みに耐え、精神状態もいろいろなのだが。
共通して言われたのはオペ室に流れる曲の事。
麻酔で意識を失うまでずっとお琴の曲が流れていたとか、
グロリア・エステファンだった〜、なんで〜、とか。
もちろんそこに妊婦の要望を聞くという態勢はない。
その時点で妊婦はただ、医者を信じて手術台に上るまな板の上の鯉である。
切羽詰まって必死なので、正直流れている曲なんてなんでもないようなものなのだが、
これが案外気になるのだという。
そしてなんでこの曲なんだろう、先生の趣味?それとも看護師?という疑問が、
人生最大の大変な瞬間にも頭の中をぐるぐると回るという・・・
どうやら有線(なつかしい)とかではないようなので、
やはりCDではないか、という話になった。
だとしたら複数枚の、様々なジャンルのCDがオペ室に運び込まれ、
オペのたびにかけられるようになっているらしいことになる。
誰が琴を選ぶのか?
誰がグロリア・エステファンや米米クラブ、マイケル・ジャクソンのファンなのか。
謎は謎のまま、「私の時はなんなのかなあ」とみんな首をかしげてその時を待つことになった。
そして私にもついにその時がきた。
それがSMAPの「がんばりましょう」だったのである。
嬉しかった。
イントロから嬉しかったが実は私はその時大量の出血で死にかけ、
娘の心音も下がって実に危ない状態だった。
元々危険な状態だったところをやっと翌日にオペを控え、
主治医の先生は元より看護師の方たちにもよくここまで持ったね、
良かった頑張ったと大喜びされていたところなのだ。
それが突如、予定オペ日の前日に出血した。
大量の、本当に床が血の海になる大出血だった。
ベッドマット一枚ダメになって、当然処分したとのちに聞いた。
緊急の呼び出しで先生は文字通りパジャマで車に飛びのって駆けつけてくださり、
副担当の若者先生もダッシュしてきてくださった。
私は呼吸も苦しく、恐怖の感覚すらも麻痺しかけていた中で、
続々と担当の先生が来てくださり、
「大丈夫、大丈夫だからね」
と言ってくださる中で、「がんばりましょう」のイントロを聞いた。
この歌好きと思いながら麻酔で意識を失って、
目が覚めた時には無事、娘が誕生してくれていたのだった。
そんな私なりの思い出の曲。
南野陽子さんの「はいからさんが通る」も「楽園のdoor」も好きでした。
素敵な歌詞をありがとう。
今日初めて名前とその人を意識したのだけれど、心から感謝の気持ちを送った。
あの時の娘がもう24歳。
元気に大人になってくれました。
そして今は仕事で1歳に満たないような赤ちゃんたちのお世話をさせて頂いている。
自分があんなに小さかったのにね。
がんばってます。
か
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