「地球へ…」のDVD8巻を観る。
入手を待ちかねて,母子3人で観た。
実は、最終話の24話を観るのは本当に久しぶりである。
22話の「暮れる命」からしてもう辛かった。
この悲しみ、そしてハッピーエンドと言っていいのかよくわからない結末。
感動、というのはやはり面映い。
感動を何も感じない訳はないのだが…まあこんなものかなあ、と諦める気持ちに今はおちついているのだが。
1話目から17話くらいまで,非常に丁寧に話を運んでいる印象があったアニテラだったのに、終盤のこの駆け足感はどうだろう。
放映当時はそれもまた衝撃だったが今となってはもういい。
共に視聴している子供らと同じ目線に自分をコントロールしてみた。
そして結果、やはりやはり、地球へ…入門編としては良い作品であるとは思った。
私はアニテラに、どうにも辛い気持ちを抱いている。けれどそれが嫌いということかと言われると困る。正直、地球へ…と名が付くものを少しでも嫌う事なんて私にはできないのだ。
しかもこのアニテラから何も得ることがなかったか?と問われればそれは断然ノーでもある。
しかしでは作品を良作と認めるかと言われても困る。それもやはり答えはノー。
思いは色々複雑なのである。
最後だからいい事だけを思い浮かべるならば、アニメ化のおかげで竹宮先生のこの作品に対する思いを新たに伺えた。(つまり非常に皆を突き放す描き方をあえてした、不親切な作品とは思うが、描きたい事は全て描けたから満足している、等、貴重なコメント)そして新しいジョミーを、地球へ…のキャラクター達を先生が描き出してくださった、それはもうとんでもなく大きい。まさかこの年になって,新しい地球へ…イラストに出会えるとは思っていなかった。鎌倉のぼんぼり祭りでまさしく生の,21世紀のジョミーとブルーを目にした時のあの感動を忘れられない。アニテラがなければ到底望みえなかった奇跡であると本当に思う。しかも私は数十年ぶりにサイン会などにも参加させていただき、先生とお話もさせていただいたのだ。
そして何よりもこれが一番なのだが、子供らが「地球へ…」を知ってくれた。
このアニメがなければ、私の二人の子らが「地球へ…」に出会うのはもっともっと先になっただろうし、そうなっても正直どれくらい心に残せたかも判らない。
しかしこのアニテラは確実に我が子達の心にヒットし、何らかのスピリットが確かに伝えられたのである。これは私には大きな,非常に大きな福音だとしか言いようがない。
娘とともに,地球へ…の世界に心を飛ばした。息子にジョミーの存在感と心意気を理解させられた(おかげさまで、今でもここぞというとき「ジョミーはそんなことしない!」「ジョミーは負けないんだから○○○君もがんばれ!」などの言葉で教育的指導効果を上げている。ありがたや)
たぶん、全国には今回のアニテラで「地球へ…」を知った子供達がたくさんいる。つまり「地球へ…」は種子を得、それが未来に向けて蒔かれたのだ。
だからきっとまたそれは数年,数十年後に新しい命を生むと思う。
その時私は楽しむだろう。もしかしたら今度は孫と一緒に。
そんな可能性を考えられるだけでもまた幸福である。
子らには原作を読む事を強要しないつもりである。でもいつかふと、そういえば原作はどんな話だったの?と聞かれるだろうが、その時も黙って、なんの先入観も知識も与えずにただ本だけを渡したい。子らが何か、私とは違う別の思いを掴んでくれたら、それはそれでいいのである。
と以上つらつら書いてみたが、つまり子供の「地球へ…」入門編には非常に有意義な作品だった、アニテラは!ということに、わたしとしては最大の評価を置きたい。
大人の眼にはどうかということについてはもう、大いに論議したいところだけれど、今さら戦意無い事でもあるのでやめておく。これでいいという人も多数いる以上,私にどうこう言う資格もない(けれど、これでいいと容認・賞賛派の人達にも原作ファンの気持ちをどうこう言う権利はないということは確認しておきたい。互いにご意見無用ということで公正でありたい。大人ならば)。とまれ、次代の地球へ…ファンを確実に増やす下地の役目は立派に果たしたのである。
エピローグ、悪いと思わない。
でもあの泣き方、なんか変で、すごい違和感が。
なんかこう…これも時間足らずじゃない!?
もっと時間をかけて細かい描写で、ふっと涙がなぜか互いに湧いて来て,お互いに自分で自分にびっくりしている…という展開にできたならもっとよかったと思うのだが。
なんかやっぱり時間制約だったのか?だからあんな、微妙に変な,寸足らずな間で突然滂沱の涙なの????なんか、変。
ああ,最後までなんか変だよ、アニメテラ。。。
そんな気持ちをプレミアムファンディスクで多いに盛り返す。
でも正直言って私は山崎監督のあの、キャラクターへの語り口調がすごくダメだ。苦手だ。まともに聞いていられない。なんかものすごくむず痒くなる。今回もすごく引いた(蒼白)
竹宮先生の「ストーリーは変えないと言いながら微妙に変わって行くストーリーにハラハラした」コメントには大苦笑。
そうですか…ストーリーは変えないという風に最初はお話を持ってこられ、そしてあのパイロット版を見せられたのですね。それってなんかサギ…いやいやむにょむにょ。
いいのだ。いいのです。子らは気に入るアニメなんだし。
…ものごと、なんでも完璧なんてあり得ないですよね。善し悪しあるのが普通だよきっと、うん。(かなり諦め)
子安さん、斎賀さんのトークはうれしかった。本当に愛情を感じ、ぬくもりを感じ、幸福を感謝した。
この人達の愛が、地球へ…を救った、生命を吹き込んだと実感した。
地球へ…に限らず,原作ものが映像化される時にいろいろ作り替えがあるのはよくあることで、現に私もお気に入りの映画なりドラマだったりするものが原作では全然違うときかされて、へえ!?でもこれはこれで面白いからいいじゃん!?と思うものはたくさんある。それらをいちいち否定していたらきりがない,逆に作品が生まれなくなる。
特に好きな「地球へ…」だから、原作通りに絶対ね、とは言えないものだと思う。
新たな命を得た事をやはり喜び、だからこの素晴らしき役者さん達に感謝しよう。
お二人の会話を楽しみ、くすくす笑いつつ,しみじみそう感じたのだった。
そして「私立☆シャングリラ学園」
リオの泣き方,すごく好き。ツッコンだりボケたり、なんて奥深いひとなの、あなたはとその態度の使い分けにまず感動。フィシス様の可憐な美声,そして一転してドスを利かせたときの迫力が私は本当に好きなので、今回もそんなシーンがあって嬉しく、ブルーが、原作での名台詞を何気なく使いこなすシーンにもやったーと嬉しく頬がゆるむ。間髪入れないボケが好き。ボケと言えばキース。あの泣き方、あのキャラクター。本当に得難い人だわと感心。
そしてトォニィ。甘えた声と脅迫の声の使い分けにゾクゾク。
けれどなんといっても好きなのは、ジョミーの「ええええええ!?」とか「どうなっちゃうんだよぅ〜?」などなど、本当に素直で正しい突っ込みぶりで、斎賀さんの発声と台詞回しがしみじみ好きで。よかったよかったと、本編エピローグ以上の幸福感を噛み締めながら,何とか私は無事に地球へ…を最後まで見切れたと言う充足感を得られたのだった。
娘が,シャングリラ学園がこれで終わりだなんて嫌だと泣きべそをかいているのも、まあご愛嬌かと思う。
それくらい、生き生きとカワユイ主人公達だったんです、シャングリラ学園のメンバーは。
そのぬくもりに感謝。