人形姫の視る夢は…

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管理人かりんの日々のつぶやきです。
コレクションしているお人形のこと、育児のこと、主婦業のこと…
いろんな日々のつれづれ日記です。
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いつまでも

くらい夜明けに目が覚めた。
胸が重く塞いでいた。
私はとても悲しんでいるのだと思った。
久しぶりの雨がぱらつく朝である。
とても寒くて、あの長く暖かかった小春日和の日々が嘘のよう。
なんて、今の気持ちにふさわしいことか。

スマホを見ると友人からLINEのトークが入っていた。
ボウイが死んだことへの感想、私への気遣い、遠い日の思い出のことについての言葉が並んでいた。
起きてすぐ、引き出しの中のバインダーを取り出した。

高3のある時の音楽雑誌にあったこのボウイの写真がとても素敵で、
大切に切り取って下敷きに挟み、毎日持って登校していた。
席替えのくじ引きで惨敗した私は、
クラス中の皆が最も嫌い、最悪と拒絶する教室最前列のど真ん中、
つまり教卓の真ん前の席を引き当ててしまっていたのだが、
そこはこの写真入りの下敷きを立てかけるのには実にうってつけの場所で、
私は教卓にそれを立てかけて拝みながら勉学に励んでいたのだ。
クラス中の注目を浴び、彼のことを知らないクラスメイトにまで
「ふ〜ん。デヴィッド・ボウイっていうんや〜」と教える結果になった。

それからなんと31年の月日が経っているというのに、この切り抜きは色あせず、散々引越しした私の身近に常にあった。

子供の頃にテレビで見たボウイという人に私はたじろぎ、恐れすら感じた。グラムロックスターとしての彼の映像は衝撃的だったし、両親が批判的な言葉を口にし、眉をひそめる様子を子供らしさで素直に受け入れ、妙な人だなあと思った。
高2の夏に映画「戦場のメリークリスマス」を観た。
ボウイってあのボウイ?といろんな本を読み漁って調べて納得した。当時はネットなんてなかったから、何かが気になればとにかくあらゆる文献を漁るしかない。音楽雑誌を何冊も買い、あらゆるラジオやテレビの番組を聴いたり見たりしてボウイの情報を集め、あの鮮烈に奇妙だった方が今はこうなのだと納得し、映画の中のセリアズ少佐に魅入られ(今も時々頭の中に、セリアズの弟の美しい歌声が響くことがある)、ラジオで聞いたボウイの歌に完全に心を掴みとられた。
「戦場のメリークリスマス」のサントラ盤を買い、ボウイの「Let's Dance」を買った。
実に正しく分かりやすく、まっしぐらにのめり込んでいったのだった。


家族のために衣食の世話をし、家事をし、子供を送って車を運転しながら、合間合間にボウイを想った。
ちょうど先週、私は彼の最新のアルバムを手に入れたばかりで、それが発売された8日の朝、ラジオから彼の曲が流れるのを聞きながらオットに、この歳になってもまだ、当時大好きだったボウイもまた元気でロックスターで、こうして新しい曲を聴けるなんて幸せだし、やっと子供の手も離れてきたから、今度彼が来日したら、なんとかしてライブに行きたいものだと話していたのだ。
オットもそうだね、ぜひそうしようと言ってくれていた。

昨日は娘のレッスンのために、家族で横浜市内のとある町に出かけていて、しばし散策を楽しみ、美味しいお菓子やお弁当などを買い込んで、楽しい気分での帰り道に、車の中でふと開いたニュースアプリの見出しに彼の名前を見つけたのだった。
さっと目を走らせて文字を読んだ瞬間、嫌!と叫んで運転していたオットをひどく驚かせ、心配させてしまった。

世界中に溢れる哀悼の思い、その言葉に、ただ私も気持ちを添わせる。
私は彼のファンの方々の中でもほんの末端、さほど深くはファンらいしいことのできるものではなかった。けれど。
それでも私なりにずっと彼を敬愛していた。
その気持ちは今後も変わらないだろう。

日常の雑事に追われるその合間合間にふと、彼はもう今、この世にいないんだと思い出してはもりもりと目に涙が湧き上がってくる。時に溢るそれをぬぐいながら、それでも私は良かったと思ってもいる。
彼は家族に囲まれて、見守られながらその命を閉じたという。
優しい、素敵な亡くなり方だったのだ。
彼はとても幸福に、その生涯を閉じていくことができたのだなと、素直に私はそれが嬉しい。
激しく生きた人のようだけれど、後年、あらゆるインタビューでよく答えていたように、愛する人たちとの時間を大切にしながら、良い時間を過ごしていたのではないか。
ここ最近の彼の写真を見るたびに、かくも綺麗に枯れ、老い方まで素敵なのだから、きっと彼は人らしく幸せなんだろうなと思っていた。
私の勝手な想像だけれど、多分そんなに外れていないのではないかな。
良かった、と本当に思う。

アルバム「★」はあまりに的確すぎて、まるで遺言、彼からの最後の贈り物のようだ。
死を見つめ、冷静に穏やかに、茶化すように受け入れ、分析するボウイの言葉、音楽。
最後までかっこよくて、やられたなあと泣きたくなる。
本当に泣いてしまう。
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