感涙フィナーレ

千歳ヲチコチ

 
ずっと大好きで、大切に読んできた作品の一つ「千歳ヲチコチ」が最終回を迎えていた。
感動にしみじみ浸る。

昔、大和和紀先生の「ラブパック」という作品が大好きだった。
その後、氷室冴子先生の「なんて素敵にジャパネスク」も大好きになり、おかげさまで平安時代が舞台のお話をたくさん読んだものだった。

そんな過去のある私である。
ふと目にしたKindlenの無料コーナーで、絵柄の可憐で見やすいこととタイトルに惹かれ、軽い気持ちでダウンロードしたのは1昨年のことだったろうか。
その1巻を、私はとても面白いと思ったのだ。

まず話は難しくない。
ありえない現代設定も盛り込まれている。それでいて当時の風習に正確。
エピソード一つ一つが伸びやかで明るく、それでいて胸にジンとくる。笑える。でも考える。

チコ(知子)は地方受領という、まあそう身分が高いわけではない貴族を父に持つ姫で、まさにその父が地方に赴任中、都の屋敷で乳母や侍女たちに守られながら留守番をしている・・・とさらっと書くとなんでもないようなのだが、この侍女の筆頭が強くて、大変面白いキャラクターだ。強いというと性格的な意味だけに思われそうだが、そうではない・・・ところがまず圧巻で、面白かった。
チコ自身も常識にとらわれない、けれどお転婆で気が強いというありがちな設定にははめ込まれていない、可愛いヒロインだ。
虫が好きで(この時代の姫は虫など見ると気を失うくらいのもの)走ったりもする(この時代の女性は走らないが、チコが宮中に上がるにあたり、いざという時身を守れるようにと侍女が仕込むというような、今までの平安設定の物語にはなかったエピソードに惹かれた)。
そのチコが同性の仲の良い友に当てた手紙を使いの者が失くし、それを拾ったのが三位という高い位の貴族を父に持つ亨という青年。
彼はその風変わりな手紙に惹かれ、戯れに返事を出す。
亨の悪友のいたずらもあって、使いのものからその返事は女性から渡されたと聞かされたチコは相手を秋風の君と呼んで、会いたいと思い始める。
亨の方もずっとチコの手紙が気になり、二人は互いをどこの誰とも知らぬまま、逢う事を願いあっていく。
そういう物語である。
チコと亨、それぞれが個性豊かな身内や友人たちに囲まれていて、いろんな楽しいエピソードがあり、面白くて楽しい。
いつかこの二人は出会うんだろうなと思いながら読み始めて、あと少し、あと少し、とハラハラする。
見知らぬ相手と逢う事を願いながら、その気持ちをきっかけにして成長していくチコを見守っていると本当に彼女が愛しくなる。
そして最終回。
泣ける。
昨日の娘の卒業式で泣かなかった分の涙も出た気がする。
暖かい思いから流す涙は良いものだ。
心がとても明るくなった。
 

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