まさかの息子

  • 2017.09.11 Monday
  • 23:45

先週、5日間の息子の実習が無事に終わった。

 

 

大丈夫だろうと思いながら、やはりどうしても不安な実習の始まりだった。

夏休みが終わって、9月1日金曜日の始業式に出た翌週から早速の実習だったので、わかってはいたけれど親子ともになにか夏休みの余韻が残っている状態。いわゆる夏休みボケである。

そして、夏休みだろうがなかろうが、なにしろずっと箱入り息子に育ててきたから、一人きりの往復に(30分だけど)何か問題があるかもしれない、と心細くてならない。

天災はもとより突然の事故のニュースも最近頻繁に聞くように思うし、それにやっぱり・・・人が怖い。

 

が、なんのトラブルもなく、息子は実習を終えることができた。

 

とはいえ、やはり障害者の自立、といういかにも美しげな言葉に疑問が湧く。

自分さえ無事ならいいというものではなく、障害者を身内に持つ者の一般論としてなのだが。

 

国は障害者の自立を声高に叫び、生活介護ではない=自力通所、通学が基本です、と極端なシステムを障害児とその保護者に押し付けてくる。

けれど、障害の度合ってそんなにパキッと綺麗に線を引いて分けられるものではない。

たいていの人がその間で困惑・当惑して手段のなさに悩むことになる。

大方の日本の福祉に関する取り決めがそうであるように、自立という良さげな言葉の本質は放置に等しいことが多く、要は予算削減、人員削減の言い訳のひとつでもあろう。

語彙豊富で七色のニュアンスを含ませることも可能なな日本語は、事実を曖昧にぼかしてさも実態を事実よりそう悪くもなさそうに表現する時にその力を発揮するものだなあ、といつも感心するのだが、こと障害者に関して言えば、自立という言葉で見放すほどには周囲の環境が整えられていないことが大問題である。

健常な人ですら、突然の災害時や事故、人災を切り抜けられずに危険な目に合うことがあるというのに、身体や知的に障害を抱えていて、どうしてその場を切り抜けられるだろうか。それが一人でできるなら世話はない。

何が本当の障害者差別の解消なのか、ノーマライゼーションなのかを、ちゃんと現場で多様なモデルを見聞きしした上で、ルールなり制度なりを発信していただきたいものだと常々思う。

言いたいことは山ほどあるが、私一人の力で今すぐ良い制度を実施できる力があるはずもなく、とりあえず交通機関に関係する方々への理解と配慮への啓蒙が制度としては近年かなり浸透しているはず、ということを頼りに、私も息子を送り出した。

実は、私のような極端に心配性な人間にとっては実に幸いなことだけれど、息子はどうやら、お上の理想の標準ケースに当てはまるタイプなのだと思う。(だからいいっていうものではないのだ、繰り返し言うけれど)

バスに乗車する時、愛の手帳を見せる、運転手さんが了解してくれる、それから乗る・・・という普通のことを普通にこなして毎日通所する・・・それはつまり、障害ある人の中では比較的障害の度合が軽度でしっかりしているということになる。

とはいえ、常に支援が必要であることには変わりはない。

いっそ重度の障害なら、もう文句のつけようもなく物理的にも精神的にもん完璧な保護の繭に包み込んでしまえるのに、という思いすら内心過ぎることがある。不遜で本当に申し訳ないことだけれど。

 

 

そんな私の心配をよそに、息子は一人で移動し、職場で与えられた仕事をこなすという日々を緊張しつつも楽しんだようだ。

順当に、就労に向けての力をつけ、前回のPC作業メインの事務補助型とはまた違う、ものづくり系の今回の現場でも、とてもよく評価していただいた。

一人で放置するのは怖くてできない。

でも支援を受けながらであれば、勤勉に丁寧に多くの仕事をこなすことができる。

性質が穏やかで、自閉症のわりにはコミュニケーション能力が高いのは、本当に小さな頃から、たくさんの人のご厚意に包まれ、支援を受けてこれたからだなと思う。

人との関係の築き方をゆるやかに優しく学んでくることができたからか、と。

 

とりあえず、9月最初の修行はクリアできたかとホッとした。

だがもう10月には2回の実習が決まっている。次は企業での実習だ。

その社屋の場所を確認し、親としてどのように息子に通勤の訓練をするか夫婦で考えはじめた週末を過ごして。

日曜日の朝、気がつくと息子がトイレにこもっていた。

下痢をしているようで、熱も相当に高い。

ああ、と胸が痛くなった。

やはり実習は息子には大きなストレスだったのだ・・・・・・と、思ったけれどオットも下痢をしているという。

いやいやパパはそんなにストレスないよね!断言しきったところで疑惑が心をよぎった。

下痢や発熱は体が体内の異分子を戦い、毒素を排出するための働きなので、無理に薬で抑えようとしない方がいいという。

だから1日様子を見ていて思ったが、これは風邪とかストレスからくる何かではない。私は娘は全くなんともないけれど・・・

 

翌朝、医師に下された診断は「軽い食あたり」。

我が家の男たちは、一体何を食べたのだろう・・・確かに倒れる前日の土曜日、嬉しそうに二人であれやこれやを買い食いしていたのは間違いないのだけれど。

 

もともと体力があるので、熱がさがると息子は大変元気になった。

しかしトイレに行く感覚はまだ30分おきである。

これでは明日も登校させることはできないだろう。

今日は私が仕事を休めず、夫に1/3有給をとってもらって病院に付き添ってもらい、奇跡的に娘の授業が午後休講になったので早めに帰宅してずっと看病してもらっていたのだが、明日は息子一人で養生しつつ留守番していることになった。

実習中も家族の誰よりも早く帰宅し、一人で鍵を開けて家に入って戸締りし、私が会社から戻るまで実に立派に留守番していてくれた息子なので(自発的に、朝洗って乾いている食器を片付けてくれたり、掃除機をかけたりしてくれていた)、それも大丈夫なのだろうと思う。

 

大きくなった。

本当にそう実感する。

 

 

 

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