金と銀

  • 2018.02.17 Saturday
  • 20:35

鎌倉の鶴岡八幡宮の折り鶴のお守り。

モヤモヤ病であることがわかり、

今月末に検査入院する大切な大切な友人に、

金の折り鶴のお守りをあげようと先日購入してきた。
私は好きな銀色を、と。

週末に、特に何も予定がないと思うと本当に自由な気持ちになる。

若い頃はその真逆だった気がしないでもないが(いや、出不精の私はやっぱり今と変わらなかった・・・)、

愛する家族、子供のためとはいえ、あまりに毎週毎週何かしらの行事が入り続けていた1月を経験したあとだと、

本当に何の予定にも縛られない休日がありがたく感じられる。

つまり私はぼんやりしていたのだ。

数年前のグランプリファイナルで、壁に激突し、ジャンプの回転が足りていなかったにも関わらず−1の減点しかされなかった選手が優勝して以来、私はあまりフィギュアスケートに入れ込みすぎまいと心の中に距離を置くようになっている。

美しい競技、だからこそメンタルが影響する度合いは計り知れず、それを取り巻く環境から及ぼすのであろうジャッジが、はっきり公正ではないと実感した瞬間で、だったらそこに正義はさほど存在しないし、そんな世界にあまり強く思い入れをしては今後も悔しい思いをするだけだと思ってしまった。

もちろん好きな人を応援する気持ちは止められない。けれど全力でリアルタイムでその試合を見守っていようと思うようにはならなくなった。
とはいえ、どうしても観てしまう時はあって、その時はやはり全力で祈っていたけれど。

浅田真央ちゃんが現役の間は辛かった・・・好き過ぎて辛かった。

もうあの思いをしたくないなあと思うほどに私は弱いし、ファンというにもおこがましい存在なのだ。

けれど目を瞑るとたくさんの、思い出のシーンが思い浮かぶ。

そもそもは私の母が大好きで、フィギュアスケートの試合があれば必ずチャンネルを合わせて見ていたことから、切れ切れに古い記憶が残っている。

子供の頃は突然美容室に連れて行かれ、母が美容師さんにジャネット・リン、ジャネット・リンと熱く語って、私の髪を切らせたものだ。結果はただのマッシュルームカットのようになり、母は大変がっかりしていたが、私個人は気に入っていたし、学校での評判も上々でよかった。

当時はショートプログラムではなくコンパルソリーと言って、最初にまず全員が同じ曲で滑る。
それも面白かった。
各選手の工夫のしどころがわかるし、基本の実力みたいなものが、子供にもわかりやすかった気がする。

カルメンの曲であった年には様々な選手のカルメン風の衣装がとても素敵て、見ていて楽しかったことを覚えている。

渡部絵美選手が現れて日本でさらにフィギュアスケートが人気になり、伊藤みどり選手はもちろん男子で五十嵐選手や佐野選手の活躍もあって、その頃から私ももうちょっと関心を持って見るようになった。

伊藤みどり選手の笑顔がいいな、と明るく溌剌として見える彼女に憧れを持った。私は根暗なインドア派そのものだったから。

何かの試合のフリーで、アニメの「エースをねらえ」の主題歌で演技していらしたことがあって、それもうれしかった。

最初は女子の衣装にばかり目がいっていて、男子にはそれほど興味がなかったのである。

でもロビン・カズンズ選手と、スコット・ハミルトン選手のスケートが大好きになって、男子シングルも楽しんで見られるようになった。

そしてものすごく好きな選手が現れた。

ブライアン・オーサー選手だ。

その頃、自国の選手は健闘を祈る程度でよかったから、好きに外国の選手を応援できて、その気楽さも楽しかった。

ブライアン・ボイタノ選手も素晴らしかったけれど、私は断然オーサー選手が大好きで、学校の友人にも全く同じ気持ちのファンがいて、二人で本当にオーサー選手の金メダルを祈ったりしていた。

しかし、残念ながらカルガリーでオーサー選手は銀メダルに終わった。

たいしてスポーツというものに興味を持たない私が本気で残念に思い、不運と感じた結果だったので、その後も強烈に印象に残り続けた。

ベルリンの壁以前、東ドイツの代表として登場したカタリナ・ビット選手の美しさに驚いた。

フランスのスルヤ・ボナリー選手も大好きになった。

ここからはもう名選手をたくさん思い浮かべてしまう。

言うまでもないいろんな有名スケーターたち。

まさに百花繚乱、ドラマチック。

本当に感動の涙を流したことがなんどもある。

そして今日、買い物途中にオットが、羽生選手の試合は何時からだったと騒ぎ始めて、久しぶりにドキドキが始まった。

リアルタイムの試合時間もろくに把握していなかった。

前日のショートプログラム時は仕事中で、羽生の結果をスマホのバイブで目を落とした画面に映った二行ほどのニュースで知り、帰宅してから録画したものをいろんな番組で目にしていた。

フリーをリアルに体験できる今日という休日、畏れる心が強かったけれど、やっぱり固唾を飲んでテレビの前に立ち尽くした(正直怖過ぎて、座っていられれなかった)

演技が始まる。

素晴らしい。

素晴らしい!

最中にチャイム。なんと、オットが頼んでいた商品の着払いがこのタイミングで届いたのである。

わざわざ午後に受け取り指定してあったオットは羽生に夢中で動こうとしないので、私が玄関先で対応。

戻ると羽生がミスしたとオットが大騒ぎの最中。

かねがね私は、オットという人は生まれた時に何かしらの呪いを魔女にかけられた人だろうと思っていたが、この瞬間もそう思った。

タイミングが最高に合う時と、最高に悪い時が同数、オットの人生にはある。

悪い方の一つが今だろう。

私はその犠牲になった感じで、これも私が背負った運命なのかもしれない。

カルマってこういうこというの?よくわからないけど。

オットのマイナートークは凄まじくて、その後ももうだめだだめだ、羽生、金は逃したなと言い続けるのでイライラしてしまう。

が、選手たちの演技の熱気が私を、つまらないこの世の苛立ちから解放してくれた。

百戦錬磨の選手たちの緊張が伝わる。

この瞬間にかけたものの重さを尊く感じる。

結果の金メダル、そして銀メダルまで!

競技ごとが私は苦手で好きではない・・・それは私が未熟な悔しがりやだからだ。

だからこのオリンピックもいつも心に距離を置いてきた。

でもこれは素直に喜ぶ。

一番願っていた、祈っていた金。

そして銀まで。

この瞬間を見られたことを、私はずっと幸運だったと思い続けるだろう。

昔、荒川静香選手の演技を朝の超多忙な時間に見て、ただ泣いてしまった時のように。

金メダルとは思わない、そんなことは期待もしないで見ていたのに、あまりに美しくて泣いてしまったのだ。

やっぱりフィギュアスケートは素晴らしい。

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