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雪の中の危機一髪

目がさめるとますます、雪は降り積もっているようだった。

まだ暗いうちから温泉に行って、

露天からしらじらと明けてゆくのを娘と一緒に眺めていたのだけど、

そうしている間にも、頭に雪が積もるのだ。


明るくなってみると、本当に一面の銀世界。


 

つららもすごいことになっている。


娘の巫女のバイトに合わせて、今日で東京に戻るので、

最後の朝食。

 

もう15年ほど通っているところだし、

この後まだ何年も来させて頂きたいから

立つ鳥跡を濁さずの心意気で、家族全員で部屋を綺麗に片付けて

チェックアウト。

 

宿を出て、見回すと改めてすごいと思う。

見上げた景色

見下ろしたところ。

左側の黄色い建物が宿なのだが、

急な斜面の途中にあり、

雪の日はこの宿の直近が一番難関。

 

軽自動車で前駆でしかない我が家の車では

上り坂を登りきったところで、ある急なカーブを曲がりきれないのでは、

と管理人さんがわざわざ見送りに出てきてくださって

しきりに心配される。

私たちとしては急な斜面を下っていくより登って、

遠回りして道路に出るほうが安全かと思ったけれど、

地元の方がそうおっしゃるのだから、と

管理人さんのアドバイス通り、

非常にゆっくりと降りていくことにした。

くれぐれも急ブレーキをかけないように、と言われたことも肝に命じて。

 

雪に埋もれた車を掘り出すのが、まず大変である。

宿泊客の誰よりも先駆けて

出発した私たち。

 

なんでもない普通のお天気の日でも、かなり角度のきつい下り坂で

突き当りのT字路まで長く下っていると勢いがつく。

それがこんな雪の日に、アイスバーン化した路面で

無事にいくわけなかったよなあ・・・

と認識したのは、

日頃運転が好きで、その技術に自信を持っているオットが顔色をなくし、

助手席にいる私にも明らかにハンドルがとられ、

制御がきかなくなり、車が滑落していると感じられた時だった。

時すでに遅し。

オットの緊張する気配がさっと車内に充満し、

後部座席で娘が悲鳴をあげる。

 

私は不思議に落ち着いていた。

滑っているけれど、速度は遅かったからだ。

とはいえ、怖くないわけがない。

車がついに大きくグルンと半回転した。

 

そして止まった。

 

必死でハンドルを切るオット。

チェーンを巻いたタイヤがガリガリガリっと氷を食い散らし、抗う音が響く。

グルンと車が角度を変える時、

また滑落するのかと娘が悲鳴をあげたけれど、

オットの力が勝った。

T字路まであと5メートルというところだった。

そろりとそこに乗り入れ、右折して、山間の細い道を走り出す。

ほどなくして、対向車とすれ違った。

もし先ほどの斜面を滑落してT字路に飛び出したところに

この車が来ていたら、衝突事故になっていただろう。

そうじゃなくても怪我をしていた確率は高い。

 

あとでオットに「死んでいたかもしれない」と聞かされたけれど。

 

 

緊張の時間はそれからも延々と続いた。

通常、宿からインターチェンジまでいくのに2、30分しかかからない。


けれど、どの車も時速20キロほども出さないくらいでしか進めず、

雪は降り続くので

1時間半かかってしまった。

インター近くまで来ると、やっと普通に走り安くなってくる。

 

ところが今度はチェーンが、変な絡まりかたをしてしまっていてはずれない!

 

雪の中で凍えながら汗だくになってオットが頑張ってもはずれない。

自力では無理だと断念するまでの數十分が本当にオットはかわいそうだった。

 

近くのガソリンスタンドに行って助けていただいた。

チェーンをつなぎ合わせる引っ掛けの部分が、

内側のブレーキの線?に引っかかってしまっていたので

リフトで持ち上げてタイヤを外してもらい、

チェーンの絡まりを解いて、タイヤをつけ直してもらう。

どうなることかと思ったけれど、

普通に帰路につけた時は本当にうれしかった。

 

ちなみにガソリンスタンドには私たち以外にも2台の車が、

それぞれ症状(?)に違いはあれど、チェーンを外せない、と

駆け込んできていた。

 


間違いなく大雪。

これは今日くる予定のお客さんもこれないかもしれない、

◯◯さんたちも何かあったら知らせてください、と

宿の管理人さんがおっしゃってくださったくらいの、

私たちの過去でも最高の雪の経験になった。

 

けれど20分も走ると、もうそこは別世界。

同じ栃木県内でも訳が違う感じになっている。


晴れ渡る空、乾いた路面。

普通に移動できる。

そして気温が上がっていく。

 

-6度から9度ある東京へ、ついに戻ってきた。

慣れ親しんだ地元のファミレスに入って、

家族で「ああ地元だねえ、帰ってきたっていう気がするね」と言い合いながらランチ。

大好物の白玉あずきに愛を感じる私。

 

やれやれと家に戻って荷物を解いて、

バタバタしている時にオットが携帯電話に三回も着信が入っていると声をあげた。

宿の管理人さんからだ。

やばい、私たちまた何か忘れ物しちゃった?あんなに確認したのにねえ・・・と

気まずい思いで顔を見合わせ、

オットが謝る気満々で折り返しの電話をすると、

管理人さんは私たち一家の身を案じて、電話し続けてくださっていたことがわかった。

なんでも私たちのあとチェックアウトしたご家族3組が次々に、

斜面を滑落して、T字路まで飛び出したらしい。

横から車が来なかったのが本当に幸いだったというくらいで、

それで私たちはどうなったのかと心底案じてくださっていたのだ。

 

管理人さんはものすごくお忙しい。

それなのにそんな心配までしていただいて申し訳ないやら、ありがたいやら。

心が温まる。

年に1、2回お会いしてお世話になる管理人さんご家族は

もう、なんとなく親戚の方のように勝手に親しんでいる。

無事に帰れましたよ、と一言お電話すべきだったなあ。

 

無事に帰れて、とても嬉しい。

そしてやっぱり那須は楽しかった。

大好きだ。

またきっとすぐ行きたくなるね。
 

かりん / 日々のつぶやき / CM(0) / TB(0)

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