トランペットツリーの咲く庭で

  • 2020.02.11 Tuesday
  • 18:26

またまた久しぶりのブログになってしまった。

新年が、明けたらすぐ、毎日ブログの更新と心に誓っていたのに早々に挫折・・・

気がつけばもうバレンタイン目前である。

いいよ、Re・startはいつからだって大丈夫さ、と自分に言い聞かせるところから始めたりして。

 

新居に引っ越して2ヶ月、

やっと落ち着いてきたので、PCの前にゆっくり座れるようになった。

そう、また引っ越した我が家なのだ。

 

我が家の引越し歴は多い。

人にいう時ちょっと恥ずかしい気がして思わず、

趣味が引っ越しなものですから、と言い訳がましくなってしまうのだが、

でもそれは真実だ。

 

元々はオットが転勤族だったのだが、転勤がなくなったあとも、

2年ごとに次の家はどこにしようか、みたいに新生活を思い描いてしまう。

大変贅沢だが、我が家はほとんど旅行をしない。

オットも私も飛行機が苦手だし、私は枕が変わると寝られなくなるからだ。

その分、引っ越しでお金を吐き出しているので、ますます旅行資金もたまらなくなるのだけれど、

私的には、引っ越しは最高の気分転換で、贅沢している感じなのである。

 

そのことにはほとんど後悔がないのだけれど、

貯金が溜まらない・・・これはやはり辛い。

もうそろそろ控えようかと思いつつの、今回で14回目の引っ越しとなった。

 

葛飾北斎の90歳人生で93回の引っ越しというのに比べれば、

結婚30年で14回くらい可愛いものじゃないかしらと思うけど、だめかな。

 

その14軒目の家の庭からの見晴らしが、とても美しい。



南西向きの庭なので、夕暮れ時が特に素晴らしくて、

この時間のためだけにでも引っ越した価値があったなあ、とため息をつきながら思う。


この景色に向き合うようにブランコを置いていて、

寒くても、夕方は少し、この光のショウを毎日眺めるのが日課になった。

 

11月末まで住んでいた家が

夫婦の結婚生活の中で一番長く住んでいて、丸6年だった。

新築で入ったし、家の造りも立地もとても好きで、

私なりに断捨離をして、手狭ながらも家族4人で暮らしていた。

 

でも、手狭になりすぎたのである。

モノの整理を心がけていたつもりだけれど、

モノというのは知らず知らずの間に増えるものだ。

私一人の家ではなく、他にオットと子供二人がいれば尚更のこと。

まして私が専業主婦でなくなってからはどうにも、

必要最低限度の家事以外手が回らなくなり、

隠れ潜んでいくモノのチェックをしなくなったから、

次第に家は「ちょっと手狭」から「かなり手狭」になった。

 

隣の夫婦の、重低音をバリバリに効かせた音楽鑑賞の趣味に

付き合いきれない気持ちになっていたこともあり、

2年ごとの賃貸契約の更新の3回目をすべきかどうか悩んでいた時に、

オットの知り合いの方から思わぬご縁を頂いた。

 

合唱をこよなく愛し、歌い続けているオットが

もっとも尊敬してやまなかった大先輩のお住まいである。

 

その方は指揮者でいらして、本当にダンディな紳士だった。

6年前に94歳で他界されたが、

185センチという、その年代の方には珍しいであろうすらりとした細身の高身長で

力むことなく柔らかに、軽やかに、音を操られる様子は優雅でお洒落で、

オットが憧れたのも無理はない人だった。

日本が世界に誇るマエストロも中学時代、高校生だったその方に憧れたという。

 

その方の奥様も3年前にお亡くなりになられた。

もう10年も前になるのだが、この優しい奥様にお招きされて、

その素晴らしいご自宅にお伺いしたことがある。

私が下手の横好きで園芸に凝っているという話をオットから聞き、

よかったらどうぞ、うちの庭を見にきてくださいな、と声をかけてくださったのだ。

うちの息子に障害があることにも気を使ってくださって、

どうぞ息子さんもご一緒に、と。

 

私は基本、人付き合いが得意ではないし、

ことにオットの趣味の集まりである人たちとの、

濃いめのお付き合いは遠慮に遠慮を重ねて距離をとっているのだが、

その時は、奥様の優しいお気持ちが本当に伝わってきて、

けしてむげにお断りしてはいけないと思った。

もちろんオットも一緒だし、少しの間くらいならと、

息子を連れて(娘は習い事のバレエかピアノか体操だったかに出かけていたので)

お伺いしたのである。

 

そこは駅から徒歩5分の、なのに、とても静かで落ち着いた邸宅街の一角だった。

同じ町名を冠しながらも、当時我が家が住んでいたところは他所からの転居者が多く、

賃貸住宅なども多く立ち並んでいる区画。

駅から10分は近い方で、遠く駅からも離れた場所へと広がる住宅街へと

行き来する人や自転車の数はとても多くて、自転車の衝突など何度も見ている。

それでもまあ静かなほうかと思っていたのだが、

次元が違う。

この付近に住んでいる人しか歩かないような、歩いていたら目立つような場所である。

 

大きなヒマラヤスギは区の保存樹木に指定されている。

それが敷地の入り口に聳える様子を見て、こういうものをシンボルというのだろうなと思う。

立ち入るのに勇気がいるような区画の、最奥に建てられたおうちはシンプルモダン。

現代的なガラス張りとシャープな線で洗練されているが、

木材や煉瓦など古風でノスタルジックな建材もふんだんに使われているので、

柔らかさと暖かさも感じられる。

素敵、と思わず見惚れるガラス張りの玄関。

通されたリビングルームの開放的で大きな窓、天井の高さ、

いっぱいに入り込む日差しと、圧巻の風景。

思わず息を飲んだ。

2世帯住宅の1階部分でありながら、開けた視界は高台だけに許された眺望に違いない。

はるか街並みが隣の市街区まで見渡せる上に、

馴染み深い私鉄の電車が走るのを眼下に見下ろせる。

小さかった息子はまずそれに夢中になった。

私は庭に見入って立ち尽くした。

斜面を利用した庭は素晴らしいの一言で、

元は和風なおうちが古くから建っていたのだろうなと連想させる竹林を端に残しながら、

イングリッシュガーデンの華やかさに満ちて、花が咲き乱れているのだ。

段差を利用した煉瓦の縁取りで、丸みを帯びたコーナーが二つあり、

広いウッドデッキのそばには一面に、紫陽花の花が咲いていた。

象牙色の小さな花をたくさんつけるアナベラたちだ。

景色も含めて、お庭のたたずまいは素敵・・・とため息をつくしかなかった。

 

奥様の優しい声、朗らかなお話ぶり、会話の巧みさ。

選ばれた人はこのように優しく、構えることなく尊く、聡明でいらっしゃるし、

自ずとそのお住まいも環境もそれに相応しくなっていくものなのだわ、と

感動しながら思った。

 

敷地内の隣には、緑の窓枠やドアが印象的な、素晴らしくレトロな洋館があり、

それが奥様のご主人、つまりオット大尊敬の先輩さまのご実家だという。

生まれながらの高貴な方達なんだなあ、と感動した訪問だった。

 

それ以降も、息子は何度かオットとその素敵なお宅にお邪魔したばかりか

お2階にお住まいのお嬢様の家にまで上がり込んで遊ばせていただいたり、

お土産にケーキをいただいて大喜びで帰ってきていたし、

私は奥様手編みの、白い素敵な指なし手袋をいただいたりして、

それを今もずっと大切に愛用させていただいている。

 

奥様が3年前にお亡くなりなったときにはとても寂しく、

娘の通った幼稚園があった地元のカトリック教会でのお葬式は

とても素晴らしいものだったと出席したオットから聞きつつ、

私なりに心から哀悼させていただいていたのだ。

 

あの素敵なお住まいにはきっと、

結婚されてご家庭をもたれたお孫さんがお住まいなのだろうと思っていた。

が。

それを貸してくださるというのである。

亡くなられたご夫妻から見てお孫さんに当たる方はそのお子さんがまだ小さく、

保育園に通われているのだが、

その保育園が現在お住まいのマンションの目の前という立地であるため、

あと数年はご実家にお戻りになりたくないので、その間は人に貸したいのだと。

 

現に2階にお住まいのお嬢様は、

ご両親を見送られてすぐ、

インテリアデザイナーであるご自身の仕事の関係で知っていた

建築学科の女学生3人にシェアハウスとして貸し出し、

その3人がそれぞれ留学や就職などで解散したあとも、

やはり建築関係のお仕事をされていた5人家族に貸していらしたという。

いずれも1年ほどで出ていかれてしまったそうで、

また新たに賃貸にだすにあたって、初めて、知人の不動産屋さんを通して

一般に情報を公開した。

その情報が出た日にたまたまそれをネットで見たのは私である。

 

なんとなく、知っているおうちのような気がしたけれど、

なにしろ10年前に一度伺ったきりのお家なので、もう場所すらうろ覚え、

建物の外観もはっきり記憶にない。

お庭の写真があれば一発で思い出したが、簡単な外観と間取り図しかない情報では察せられず。

なにげなくオットに見せたら、オットが飛び上がって驚いた。

まさか尊敬してやまない大先輩のお宅が賃貸に出るとは夢にも思っていなかったのだ。

しかもあまり高額、ではない。

相場を考えれば常識外れに安い。

 

でも。我が家には背伸びする金額である。

だから借りるのは無理だと思ったけれど、

どういうご事情か聞かずにはいられなかったというのが正直なところだ。

オットがお嬢様に直接問い合わせたら、

お嬢様からぜひ住んでくださいなとお話をいただき、

金額面で勿体ないほど大幅に我が家に合わせていただけて、

話がとんとんまとまってしまった。

 

10月の半ば、つまり私の誕生日にそのことが決定され、

22日の即位の礼の日に、お嬢さまのお宅で契約書を交わさせていただいた。

あの、午前中雨がふりしきっていたのに、突然晴れ渡って空に大きな虹がかかった、

奇跡のような瞬間に、である。

我が家にとっては二重にミラクルに感じられた日だった。

 

そうして、信じられないような引っ越しの騒ぎを越えて荷物をまとめた。

かさばる家具をいくつも手放し(粗大ゴミを捨てるためにかかる金額の高価さと言ったら、

もう2度と大物は買うまいと決意するに十分なものだ)

散らばっていたモノをまとめて整理して。

長年、自分のなかでしっくり来ていなかった家の中のものを全て見直し、

あらためて持っていくものを決め、潔く処分するものは処分した。

これまでの家より、面積的にははるかに広くなるけれど、

ご夫婦二人が住まわれるために作られたお家に、

家族4人で住むのにはまず圧倒的に部屋数が足りず、

モノの置き方、整理の仕方に工夫が必要だったのだ。

結局、せっかくの広いリビングだけれど区切らない訳にはいかなかった。

実際前に住まわれていた5人家族も、

3人の女学生さんもそうして暮らしていたという。

それはそうよね、と納得である。

都心で100平米は贅沢だし、それも1フロアで、だから、

2階建てのように階段などに場所をとられない分かなりの広さ、

収納もたっぷりあるが、

それでも当初は、これだけの荷物がどうやってこの中に収まるだろうと絶望した。

 

が、なんとかなった。

ギリギリでクリスマスツリーを飾り、

無事に年をこしながらやっと落ち着いて、日々の生活を送れるようになって、

借家とはいえ贅沢な環境の、日々の暮らしを、今、楽しんでいる。


空気が澄んでいれば、ここに富士山が見える。

駅から自宅に戻る道はいつも、

夕暮れの空を背景にした富士山を

真正面に見ながら歩く感じだ。

明け方は、

東の空から届く光に、次第に街が照らされていく様子を見ることができる。

住宅街の、あちこちの古いおうちに咲いている大きなラッパのような花弁のお花。

その名もトランペットツリーというのだと、初めて知った。

テラスの入り口にあり、迫力があった。

この写真は11月末日の引っ越し二日目のもの。

今は寒さでもうしおれ、

次に咲く日を待っている状態。

趣味のガーデニングを楽しむ余裕も最近できて、

夫婦でいろいろ花を選んで持ち帰るのが楽しみになってきた。

ちょうど花数が少ない時期なので、今は少しずつしか増やせていないけれど。

 

新居に引っ越すと、やっぱり何か新しく揃えるのは楽しみで、

トイレセットなんかもそう。

若い頃はこういうものにもお金をかけて拘っていたけれど、

今はことあるごとに取り替えたいので、

シンプルで安価なものでその時その時を楽しみたい、

ということで素晴らしい3coinsさんで

今日もセットを買ってきた。

 


フワフワの手触りがかなり気持ちいいし、

デザインもシンプルでロゴがおしゃれ。

グレーは玄関脇の、お客様用の手洗い室に、

白は家の奥の家族用のトイレに。

 

家族元気で、新しい生活を楽しんでいて、

またこれからも頑張ろうと思う。

専業主婦にはなれそうもない今年だけれども。

 

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